ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「装いの力 異性装の日本史」展(松濤) レポ

小ぢんまりしていてめぐりやすい。いいところでした。

まずは概要から。10月30日まで渋谷区立松濤美術館にて開催中。ABCDの4期間に分かれています。毎週月曜日は休館ですが、9月19日と10月10日は開館するそうです。その代わり翌日の火曜がお休みになります。開館時間は10時から18時まで。金曜は20時まで開館しているそうです。

看板

日本書紀から始まる「日本の異性装」

ヤマトタケル熊襲を討ち取るシーンでは、女装したヤマトタケルが登場しますが、あれから現代、未来に至るまでの「異性装」という概念を多角的に見ていくのが本展覧会のテーマです。

皆さんの中でも「出雲阿国」という女性の歌舞伎踊りは聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれません。それ以外にも高校国語科で取り扱う「ちごのそら寝」に登場する「稚児」(良家の子息で、礼儀作法を習いに山寺へ預けられた少年)のことなど、メジャーどころからマイナーまで、文化・風俗に寄り添う形で展示が進んでいたことも非常に面白いポイントでした。

個人的には森村泰昌マリリン・モンローや大阪通天閣をバックにした女装が見られただけでうれしかったのに、『ベルサイユのばら』や『ストップ!! ひばりくん』などの異性装を扱った漫画作品にも触れていてくれたのが良かったです。好感度が高い。

見たかった写真

少女歌劇の男役からドラァグクイーンまで、男か女かという二項の己の性別にとらわれずに生きていった人々の姿が、ありありと記録されていて、非常に興味深かったです。

今でこそジェンダーレス、ジェンダーフリーと言われるようになりましたが、明治初期からは異性装が禁止(刑罰の対象)になったり、もっとさかのぼれば女性の芸人が歌って踊るなどもってのほか、みたいな例もあったりしたそうです。もともと異性装をしていく文化があったのに、それを弾圧する形で日本の行政機関が動いていたのも今と変わらないな、と思うなど。

私の知り合いには性自認が多様な人がいて、彼らが今女装や男装を好きにできていることがどれだけ奇跡的かということを思い知りましたし、同性婚など今後の日本の未来を考えていくうえで重要になる展示だと感じました。

ドラァグクイーンのみなさん