ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「ルートヴィヒ美術館」展(六本木) レポ

初手でそれを出す!? という衝撃。

まずは概要から。国立新美術館(六本木)にて9月26日まで開催。その後は京都へ行くそうです。開館時間は10時から18時、金曜土曜は20時まで。休館日は毎週火曜です。

ドイツの市民による珠玉のコレクション

ルートヴィヒ美術館は市民から寄贈されたコレクションが中心になっている美術館だそうで、多くの人々の努力によって成り立っているという点でも非常に価値のある作品群でした。ピカソ、ウォーホル、マン・レイ……これだけの20世紀の芸術を代表するアーティストの作品が一堂に会する場として、十分すぎるくらいに素敵でした。世界大戦の戦火をくぐり抜けた貴重な作品をこうして拝めるのは、ひとえに美術館とコレクターの努力のおかげ。そう思うと本当に身震いするような畏怖の念を抱きました。

今回の作品で心に残っているもの

フランツ・マルクの「牛」と、エーヴァルト・マタレの「眠る猫」は可愛さMAXでした。キュビズム的配置になったカラフルな牛さんも、木でつくられたニャンモナイト状態の猫ちゃんも、それを愛らしいと思いながら見つめた画家・彫刻家の優しいまなざしが感じられました。まなざしと言えば、写真のコレクションの多さも圧巻でした。マン・レイはもちろん、フリードリヒ・サイデンシュテュッカーの「水たまりを飛び越える女」も躍動感あふれる瞬間を切り取っていましたし、オットー・シュタイナートの「片足通行人」もストーリーを感じさせる不思議な作品でした。

私も写真を撮る人間ですが、写真の師匠から言われたのは「すべてが偶然でできているのが写真」「枚数で勝負」ということでした。それくらい、写真って上達するまでに時間がかかるし、何より奇跡の1葉が撮れるかどうかも運次第なのです。そんな苦行だらけの写真の世界で、この20世紀の撮影も現像も手間のかかる(しかも高価な)作業だったのに、モノクロであれだけのパワーを持った写真が撮れるという事実を目の当たりにして、本当に感動と勇気を貰いました。だって、私の趣味でやっている写真も、もしかしたら奇跡の1葉になるかもしれない、と思わせてくれた(いや、錯覚かもしれないけれど!)のだから、現代の私にバトンが引き継がれた、ということですよね。

どの作品もそうですが、大戦、大量消費社会など、様々な時代性とは切っても切り離せないのが芸術で、それが我々鑑賞者に訴えかけ続ける限り、意味のある作品として次世代に継承されていくのかな、と思いました。

まだまだ会期はあるので、この機会にぜひ。

ポスターとレポ草稿