「午後の紅茶 マイスターズミルクティー 微糖」が作業のお供です。
どうも星野です。すっかり風が秋になりましたね。
今回は東京都千代田区の美術館・三菱一号館美術館で開催中の展覧会「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展に行ってきました、というレポを書きます。
実は7月から開催されており、10月6日までの会期です。少しでもご興味のある方はお早めに!
チケットは少々お高めですがアフター5女子割など割引があります。10時~18時まで開館、第2水曜日と金曜日は21時まで開いています。また、会期最終平日も21時までとなるようです。月曜休館ですが、祝日はやっています。
今回の展覧会は、フォルチュニの大規模な展覧会としては日本初だそうで、かなりレアなイベントです。
マリアノ・フォルチュニはスペイン生まれの総合芸術家です。
最初は画家の父の後を継ぐように画業を始めますが、ワーグナーのオペラに感激し、舞台芸術・演出も手掛けるようになります。
その一環として衣装を製作するようになり、目玉作品の一つである「デルフォス」(ドレスの名前です)が生まれたそうです。
なんでも奥さんのアンリエットが、デルフォスをつくるきっかけだったようです。
それまでのコルセットで腰を締め付けるのではなく、ゆったりとしたデザインのその作品は、私にとんでもない衝撃を与えました。
このデルフォス、「デルフォイの御者」という作品(ギリシアの青銅の像です)から着想を得たそうなのですが、20世紀に製作されてから今の今までその工程(どうやって作ったか)が不明という神秘的な逸話があります。
私も洋裁をやるので、じっくり見学してスケッチをしましたが、かなりシンプルなつくりにも関わらず女性のボディラインがきれいに出るという奇跡的な逸品で……感動した勢いそのままに図録を購入しました。
細かなプリーツ、袖口などに縫い留められたトンボ玉、とろみのある布地。
様々な女優さんも着たというドレスというところにも惹かれましたが、なによりドレスが描く曲線がとても美しいのです。
思わずため息が出てしまいました。語彙力はどこかへ行ってしまいました。
単色なので上にいろいろな柄物を羽織ってもゴージャスですし、それ単体でも十分女性の魅力を引き出してくれます。
面白かったのは、このデルフォス、小さな箱に入ってお届けされていたそうで、くるくるくる~っと巻かれて収納されていました。
それでもだめにならない布地……すごい……
現代にも十分通用するデザインですが、今は生産されていないというからもうその価値は爆上がりです。
そんな作品をこの目で見られたのがとても嬉しいです。
テキスタイルもステンシルの方法で自ら刷っていたというから驚きました。
19世紀から20世紀にかけての当時はオリエンタリズム最盛期、古代遺跡ブームだったそうで、クレタ島の文化に寄せた「クノッソス」という上着も展示されていました。
「トルコ至宝展」でも目にしたチューリップの図柄などもありました。
草花の文様がランプシェードに描かれているのを見た時は震えました。あまりの壮麗さに。
私もいつか、着るひとの魅力を最大限に引き出す作品を……という強い情熱を呼び起こしてくれました。
フォルチュニ、推せます。
ドレスやジャケット、テキスタイルもこの展覧会の魅力ですが、フォルチュニ父子が描いた油絵や息子(デザイナーのほう)が撮った写真なども展示されていました。
オススメはタチアオイの絵とクンドリ(ワーグナーのオペラ『パルジファル』の中の登場人物)の絵です。
花を描く画家は多いですが、フォルチュニも第一流の腕前を持っています。
聖杯……とか、円卓の騎士……とか、私のフォロワーさんの中にもいる某ソーシャルゲームのお好きな方に詳しく伺いたい設定が展示パネルに書かれていた「クンドリ」はかなり気になっているので、これから調べようと思います。
かなり奥さん(アンリエット夫人)のことが好きだったのか、被写体が彼女のものが多かったです。
しかし彼女と結婚するのに22年かかったらしい(フォルチュニの母親が反対したため)ので、かなり困難を乗り越えたカップルなのだなあと……すごすぎます。
たくさんの特許を取り、自らの作品のプロモーションもうまいことやっていた多才なフォルチュニ。
彼の作品を見て考えたのは、「普遍的なデザイン」というものでした。
シンプルイズベスト、という言葉もありますが、本当にその通りなのだなと感じました。
余計な装飾は必要なく、アレンジもきくし単独でも優れた機能性と美しさを発揮するし……
そういう「最初から整ったカタチ」というのは100年の時を超えても残り続けるのだなあと思いました。
このデザインから学んだことをもとに、自分の製作活動に活かしていきたいです。
次回はなんだろう……オランジュリーよりもコート―ルドのほうが早そうです。
芸術の秋を堪能しようと思います。
それでは、また。