写真沼に落ちてからというもの、こういう展示に目がない桃ちゃんです。
まずは概要から。5月8日まで銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて開催中。会期中無休・予約不要・入場無料というとんでもない展示です。行かなきゃ損ですよ!! 11時から19時まで開館。
ジェーン・エヴリン・アトウッド。ニューヨーク生まれパリ在住の写真家です。彼女の作品はパリの路上に立つ娼婦を撮ることから始まりました。そこから女性服役囚、地雷の犠牲者など、光の当たらないアウトローたちがどのように暮らしているのか、その接点を自ら写真におさめたアトウッド。その写真はポートレートとして非常に美しく、モノクロームのなかに麗しい光を見出すことができます。
広告の写真にもなっているこの一葉は、アトウッドの代表作のなかでも人気の高いもの。女性の動きと街灯の光が幻想的です。ポートレート写真のお手本のような作品で、エモさ全開です。
私が気に入ったのはこれ。幕間のような恋愛でも、どこかへ別の人へと繋がっているのであれば、それは意義に満ちたものである――みたいなメッセージ性を感じさせて、かなり惹かれました。アトウッドのことは別に知り合いでもファンでもなく、ただふらっと入っただけのド素人なのに、ここまで印象的な作品を撮影できるのか……と感動しました。
私もエモい写真を撮ってみた、の巻。通路に行きつくまでの闇と、その先の光に何か今のこのご時世を重ねてしまう気がしませんか? この展示を見て写真の勉強になったのはもちろんですが、物事をどう切り取るか、というのは切り取っている人の主観をおおいに反映するものなのだと理解しました。というのも、彼女の作品は女性のあられもない姿などを撮影した直接的な表現でありながら、どこか温かみが感じられるのです。搾取している感じがないというか、被写体に寄り添っている感じがするのです。そういう「この瞬間だけは私が世界で一番この人(被写体)に寄り添っているのよ」と言わんばかりのメッセージを、魂で感じ取ることができました。私もそういう写真が撮りたい。
何よりよかったのは、「写真を撮ることは役に立たないかもしれないけれど、それは私を駆り立てる(撮らなきゃいけないから撮っている)」といった趣旨のコメント。役に立つかどうかは後付けでいいんだよ!! と心の底から共感しましたし、そういう「駆り立てられる何か」に出会えた人生ほど豊かなものはないのだろうな、と思いました。
非常に良かったので皆様ぜひ。