ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「STARS」展 レポ【note・ブログ共通記事】

ゲームのイベントが三つ重なりました。うたプリ刀剣乱舞FGOです。うれしい悲鳴。どうも星野です。先に写真だけアップロードしましたが、六本木・森美術館で開催中の展覧会「STARS」展に行ってきました、というイベントレポを書こうと思います。
この展覧会は7月から開催されていたのですが、私がこの存在を知ったのは人気バラエティ番組「嵐にしやがれ」で大野さんが奈良美智さんと対談しているのを拝見したとき……だから11月くらいだったと思います。奈良美智さんとの対談で興味を持って、今まで何のために芸術鑑賞にいそしんできたのだ、「日本が誇る現代アートのオールスター」が集まっている展覧会ならばぜひとも足を運ばねば、と思った次第です。会期は来年1月3日まで、夜20時まで開館しています。ただ日時指定券をネットで取らないと入場できないのでご注意を。現在は「ミッキーマウス」展、「約束のネバーランド」展なども同時開催されているので、二つ以上鑑賞できるお得なチケットも販売中です。しかも館内は基本的に写真撮影OKです。SNSで発信するのも公式が応援しているのでばんばん拡散しましょう。それだけの価値ある作品が目白押しでした。

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003110j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003116j:plain

入り口の様子

現代アートはなんだか難しい、よくわからない……と思っていらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。けれども、実際は身構えて観るものではないと思うのです。要はジャッキー・チェンの教えの通り、"Don't think, feel!"でいけばいいのです。私もプロではないので、正直作品のことがよくわからなかったり、その含意や願いに気付かずに通り過ぎてしまったりすることもあるはずです(まあ、批評家の方でもそういうことはままあるのかもしれません)。それでも行けば毎回何かしらの収穫はあるので、自分のアンテナに引っかかったもの、感じ取れるものを大事にするのが美術鑑賞のポイントなのかな、と思っています。今回の展覧会では各アーティストの年表とそれに対する評価の文言や、過去に各アーティストが参加した海外の展覧会の詳細なども確認できるので、そのアーティストに詳しくなくても楽しめるし、勉強になります。

私は今まで現代アートというものにも縁遠く、そのなかでもいわゆる「日本現代アートの王道」的なものを鑑賞した経験が乏しかったです。写真で見たことがある、とかはありましたが、実物を見るのはこれが初めて。この展覧会に行くまでは、そこまで正直思い入れもありませんでした。しかし、この展覧会では「現代アートの持つ普遍性」に気付かされました。
アーティストの言葉やイメージの根源を垣間見たときに、私が感じ取ったのは「時空を超えて永遠に残したい何か」と「生と死を超える何か」でした。
人間は今のところ、寿命と呼ばれるものがあっていずれ死にゆく存在です。限られた時間、リソースの中で何を成すか、歩む人生によってそのMISSIONは代わると思います。この展覧会に出品されているアーティストの皆さんは、そのMISSONの向かう先が違っていても、根っこにある想いは同じなのではないかと考えました。
各アーティストの活動の指針は前述したように様々です。自分の作品を通してたくさんの魂を安らかに眠らせたいと願った人、大昔の人が見た景色を自分は見られているのだろうか、と考えた人、あるいは自分の作品を永遠に残し続けたいと思った人、そしてすべての出来事や作品を「関係性」の中に位置づけようとした人……メッセージも方向性もばらばら、そして表現方法もすべて異なります。ただ、その根っこにあるのは「日本」という国の文化をアーティストの皆さんなりに受け取って、彼らの目で見た形で批判したり賛美したりして、次の世代にバトンタッチしようとする意志だったり、生と死の間に何か意味づけをしようとする祈りにも似た想いだったり、普遍性があるのです。
どのアーティストも、独自の表現方法で自分の世界観を描き出して、他の人間に「私はここにいる、ここで君に伝えたいことがあるからこうして作ったのだ」とでも言うようなメッセージを発しています。制作に命を懸けていることがすごく伝わってくるし、観ていて心が落ち着いたりざわめいたり、まるでジェットコースターのような感覚に襲われました。

来場のきっかけになった奈良美智さんは、子どもを描く中に神聖さと親しみやすさ、あどけない残酷さなど両面性を描いていて、どこかほんわかした雰囲気なのに緊張感漂うインスタレーション作品を展示されていました。草間彌生さんなどは、特徴である反復・単一の表現を前面に押し出しながらも、いつもの水玉模様やかぼちゃを封印して「今もなお進化し続けるアーティスト」としての矜持を見せつけてきます。村上隆さんは日本のオタクカルチャー・ポップカルチャーを批判的に描き、そのいびつさを明るく表現する手腕が光っていました。Lee Ufanさん(すみません、漢字が入力できなかったのでローマ字表記にしました)は「もの」をどこまでも簡潔に表現しながら、個人や社会がそれをどうとらえるのか、どう関係性の中に取り込むのかということに目を向けて製作されているように感じました。杉本博司さんは時を超えて残るものや歴史の厚みに目を向けながら、変化していく時代、時間の流れに真っ向から挑もうとしていてとても感動しました。宮島達男さんは人間の命をタイマーとして表現して、生まれて死んで生まれて死んで……という太古の昔からの営み、悠久そのものをデジタルで表現されていたところが非常に興味深かったです。

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003105j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003059j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003054j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003050j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003044j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003038j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003032j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003027j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201219003022j:plain

それぞれの作品群

現代アートと言っても、過去の作品――というよりむしろ、時間の積み重ねで生まれたのだから、時間をどうとらえるか、というのは永遠の「アートの課題」なのかもしれない、と思いましたし、作品の在り方は国家・社会・共同体の持つコンテクストに依存するのは、音楽や文学と似ているなとも思いました(オタクカルチャーについて批評されている村上さんなどはその傾向が顕著ですね)。
意外と現代アートって、身近に存在するものなのかも。私はそんなことを思いながら、この展覧会を堪能してきました。会期残りわずかです、行けるときに行っちゃいましょう。それでは、また。