ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

上野リチ展(丸の内) レポ

幻想的な世界へといざなわれます。

まずは概要から。

mimt.jp

事前予約制ですので、ネットでチケットを取って、お仕事終わりに突撃してカフェでごはんを食べるなどしても良いと思います。今回の展示はいつものよりも規模が小さく、お写真はフォトスポットのみとなっています。ただ、グッズや図録は最高なので、お買い物に時間をかけるのもひとつの楽しみですね。私は図録をネットでポチろうとしています(持ち帰るのが重かったし、書店でも買えます)。

ファンタジーの追求

19~20世紀において、デザイン部門ではウィーン工房が最高峰だと思われるのですが、リチもそこに所属していたそうです。様々なテキスタイルのデザイン、陶器のデザイン画などが残っています。画面の中には、所狭しと花が咲き乱れ、リチが生涯を通じて追求した「ファンタジー」の世界が広がっています。ウィーン工房所属初期の頃から徹底して「花(植物)」「動物」を描いているのは、リチの自然に対する観察眼や愛情が感じられて非常に心を動かされます。リチはいまだ女性の社会進出がメジャーではなかった当時に、ウィーン工房という世界でも最高峰のデザイン事務所に所属したその才能が目立ちますが、やはり仕事人としての「こだわり」だとか「画面の美しさ」……才能だけでなく、デザインの勉強を真剣にしていた、その真面目さだとか勤勉さも同時に垣間見られます。努力するからこそ才能が花開くのだということを再認識しました。ウィーン工房で植物を描き、各都市のイメージになるテキスタイルデザインを手がけ、リチの世界は大きく広がっていったとも思うのですが、何より「ファンタジー(幻想性)を追求する」「装飾性を大きくする」という内的な願いも深くなったのだと思いました。ウィーン工房といえば、ホフマンのように機能性を重視して、華美なものを嫌う人もいたのですが、そこの中では異端の奇才だったのかもしれないですね。

日本の影響とその魅力

上野伊三郎と結婚し、京都とウィーンを行き来する生活を始めたそうですが、戦後も日本に残り様々なデザインを手がけたというところに、個人的にはとても嬉しくなりました。だって、それは日本を愛してくれたということだと思うから。リチは日本の室内装飾なども手がけ、誰もが一度は行ってみたいと思うような内装を意欲的に生み出していて、すごくカッコいいなあとも思いましたし、その生み出されたデザインはひたすらに可愛いなあと思ってしまいました。きっとチャーミングな方だったのでしょう。日本の動植物に着想を得て製作されたデザイン画や、見たものを記録した絵巻などもきれいに残っていて、その瞳に映った景色や自然が、リチを豊かにしていったのだと思うと、なんだか幸せな気分になりました。

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まだまだ会期はありますので、皆様ぜひ。