ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「生命の庭」展 レポ【note・ブログ共通記事】

芸術の秋、皆様楽しんでいらっしゃるでしょうか。いまは現代アートがアツイので、今後もチケットが取れる限り足を運びます。どうも星野です。今日は東京都庭園美術館にて開催中の展覧会「生命の庭」についての記事です。

最初に宣伝! お好きな桃ちゃんの活動を応援してくださるとうれしいです。

note.com

www.pixiv.net

fantia.jp

minne.com

まず美術館についての概要です。会期は2021年1月12日まで、休館日は第2・第4水曜日と年末年始(12月28日~1月4日)です。目黒駅から徒歩7分、10時から18時まで開館しています(入場は17:30まで)。事前予約制ではなく、当日券売所でチケットを購入する形になります。一般1000円。シルバーデーは当面中止だそうなのでご注意を。お庭がとっても素敵で、自由に散策することもできます。木々に囲まれながら軽食・スイーツを楽しめるミュージアムカフェや、テラス席が気持ちいいレストラン、オリジナルアイテムの販売を行っているショップと、施設もかなり充実しています。インスタ映えも狙えるスポットなので、女性人気・カップル人気が高い場所のようでした。

何よりアールデコ調の内装、クラシカルな美術館の雰囲気が最高でした。めっちゃ写真を撮ってしまった。とっても素敵な空間でした。住みたい。(※もともとは朝香宮家の旧邸宅だそうです)

 

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053054j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053059j:plain

エントランス

 

今回の展示の見どころは、「庭園・室内の美しさと調和した現代アート群」です。「生命の庭」と題されているので、もちろん動植物をモチーフにした作品もありますし、土偶ちっくで太古の昔から存在していたような石の人形も置かれています。他にもきらきらしたガラス細工や鉱物の展示、油絵……本当に表現方法は多岐にわたります。一見すると整合性がない。けれども、それらが決して美術館の内装や庭園の様子をぶち壊しにはしないのです。不思議と「そこにあるのが正しい」と思わせるような展示の仕方をしているのが非常に面白かったですし、企画者の方の熱意を感じる部分でもありました。そして複数のアーティストの作品を(テーマを決めて章立てているわけではなく)うまく混ぜながら展示していくことで、新たな発見やちょっとした冒険のような感覚が味わえたのも素敵なポイントでした。あと、個人的にありがたかったのは「解説をパネルで置かず目録に書いておいてくれる」というのがありがたかったです。出品数が少ないからこそできたのかもしれませんが、目録を持って帰ればアーティストの来歴と共に作品の考察が何度でも読める(メモ書きする必要がない)ことがうれしかったです。毎回メモを取りながら美術館をまわるので、どうしても鉛筆の粉が出ちゃうのですよね……あまり美術館を汚したくないので本当は避けたいのですが、それをうまく叶えてくれた展示でした。

「生命」――それは私たちが何もわからないまま押し付けられて、何もわからないまま手放していく「いのち」を指しているようにも感じられます。しかし実際には、多くの生命(目に見えない存在、有機物、無機物、光など様々な要素を含めていいと思います)が複雑に絡み合って形成したこの世界のしくみそのものを指しているのではないか、と感じるようになったのがこの展覧会での収穫でした。
ガラスに透過される光を見て美しいと思う気持ち、大きな馬の絵を見て圧倒される気持ち、それはきっと人類が文化を花開かせてきてからずっと変わらずに持ち続けている情動だと思います。その人間の根っこにある「変わらないもの」を「変わってゆく時代」に鑑賞して、もう一度問い直す、というのは、非常に挑戦的な試みであると考えました。
たとえば、つぼみが花開き、そして枯れてゆく「一瞬の美」を切り取って「永続性のある美」にしたのは、油絵もそうですがガラスや樹脂で固める方法だって同じだろう、と思う展示が山口啓介さんの作品でした。私も花をモチーフにした作品を製作していますし、レジンで花を固めることもします。しかしそれでも、小野小町ではないですが「花の色は移りにけりな」とばかりに花は色あせていくし、永遠はないのだと感じることもしばしばあります。それを克服するのが良いことなのか悪いことなのか、私には判断がつきかねますが、「永遠の美」は人間のあくなき探求でもあると感じた展示でした。

 

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053049j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053044j:plain

展示作品の一部①

 

また、昔の人が「じぶんたち」をかたどって作った人形に、何かしらの呪術的要素や畏怖の気持ちを抱いていたという「歴史の授業でそうあるものなのだと教えられてきた情報」が、リアルな「感情」に変わる瞬間があったのもこの展示での発見でした。
加藤泉さんの石でできた人形たちは、どこか怖くて、目が合うとドキリとしてしまいます。でもそこに魅力があるというか、原初の芸術に通ずる「気配」を感じ取ることができました。「人間」とは、我々にとっていちばん身近で、そして最も遠いものだから、こんな風に「意味を見出そうとしてしまう」のかもしれないな、と考えていました。

 

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053039j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053033j:plain

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053027j:plain

展示作品の一部②

 

そして私が一番最後に鑑賞して印象的だったのが、小林正人さんの作品でした。題名は「タイトルなし〈アーティスツ・ライフ〉」となっていましたが、ここに芸術家の魂のようなものを感じたので、ちょっとその話を。
何かを作るときって、自分もそうですが、「燃え盛る」のですよね、意欲というか、情熱というか、それこそ「生命」のようなものが。だからこの黄色い炎の揺らめきのような「アーティスツ・ライフ」には自分の創作意欲に似たメッセージが込められているのではないかと、勝手に何かを受信してしまいました。そういう「アーティスツ・ライフ」がこの「生命の庭」という展覧会を象徴しているような気もしながら、半月に照らされた庭園を歩いてきました。

非日常体験が味わえる素敵な展示でした、皆様も機会があればぜひ。それでは、また。

f:id:hoshino-momotaro-1616:20201026053022j:plain

おみやげ