ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

教壇に立ったその日から・番外編セカンド【note・ブログ共通記事】

ぐんと寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私はテストの採点と成績入力を終え、ひと息ついたところです。

今回は特別にこちらでも公開しています。バックナンバーはこちら

https://note.mu/hoshino1616

 

ということで今回は「第2回定期試験の振り返り」というお話からいきたいと思います。

 

今回は古典のテストを作問したのですが、まず「応用問題を入れる」ということをやろうと考えました。

2学期はことごとく授業がつぶれ、扱えた単元が少なかったというのも理由の一つですが、これから古典世界にもっと深く関わっていく(3年生なら文学部進学を希望している、2年生なら来年度も私の授業を受ける可能性があり、そこでは古典作品同士の関連などコアな内容に触れる予定である)のならば必須の技能である「初めて見た文章を、自分の持っている知識を使って読み解く」という行為に触れさせておきたかったのです。

実際に授業中にも何度も初見の問題を出して演習しました。生徒のつまずきに合わせ、助動詞の識別の仕方や文脈の追い方をできるかぎり伝えました。

それでもやはり足りないところが多く、特に文脈を追う指導に関しては生徒の感覚任せにしてしまったところがあります。

国語の小節読解のように、誰が出てきて、何をして……というのを生徒が自ら理解できるように時間をかけて説明すべきだったのですが、そこが至らなかったなあと反省しております。

それでも80点以上をとった生徒が一人いて、その子はめいっぱい褒めてあげました。他の生徒も得点を伸ばした子、落とした子、いろいろでしたが前向きな声掛けだけは忘れませんでした。

 

今回作問をして気を付けていたのは、ストーリー性のある問題の流れを作ることでした。

京都大学の現代文の問題を読んだときに、すべてが繫がっている問題の美しさというか、解きやすさに感動し、何度も勉強会に出席しているうちに「問一が解ければ問二も解ける(ヒントが出てくる)」問題を作りたいと決意しました。

文法問題を中心に据えてしまったので、やや流れが強引になってしまったところもありましたが、それでも今できる最善の「流れ」を形成したテストを作ることができました。惜しむらくは私の印刷ミスが多かったことで、生徒を混乱させてしまったのが反省点です。ただ解答欄に助動詞や敬語、訳してほしい部分の抜粋などを入れておいたので、そんなに混乱することはありませんでした。よかった。

 

採点自体はあまり悩まなかった(基準を甘くした)のですが、やはり彼らの「読解力」は低いのだなあと思うことがたくさんありました。

もちろん古典だと言葉や語彙のハードルがありますが、現代文でも的外れな解答をしている生徒が結構いて、頭を抱えてしまいました。

今回のテストは「山月記」をメインに扱って、本文中の語句の説明を記述させる問題を事前に練習させていました。

例えば『性狷介、自ら恃むところすこぶる厚く』などを自分の言葉で書かせてみたのですが、授業中にポイントを教えていても「人柄がよかった」とか書いてくる生徒がおり……これではPISA型読解力どころか昔から言われている読解力も身についていないではないかとショックを受けました。

 

今回のPISAの報道に関しては、翻訳文のまずさもありましたが「脱ゆとり」の教育が完成した頃の世代が受けているはずなのにスコアを落としたことを「SNSの普及」が原因だとしているところに疑問を感じます。

そもそも短文でのコミュニケーションは以前からありましたし、短文が読めないのに長文が読めるはずもなく。そもそも教育の方針が間違っていたのではないですか? と問いただしたいです。

現代っ子たちは語彙をあまり知りません。言葉の知識が少なく、情報を取捨選択する前に鵜呑みにしてしまいます。それは教育内容にもカバーしきれなかったという問題はあると思いますが、高度に情報化してしまった社会の暗部とでも言うのでしょうか、彼らが学ぶよりも先に情報がどんどん洪水のように流れ込んでしまうからかもしれないと思っています。

情報との付き合い方をそろそろ本腰入れて教えるべき時期に来ているのではないかと考えます。

それに、私たちの教えている「PISA型読解力」どころではない生徒のケアはどうなるのでしょう。

彼らはもうすぐ社会に出ます。すぐ就職する生徒もいます。

不安定な社会を生き抜く力を身につけてもらうためにも、社会生活につながる実践的な学びと、文学や芸術などの文化資本に大人になってからもアクセスできる土台作りをしていかなくてはならないと思いました。

教養は人生を救います。ただ暗記しただけ、受験のためだけに学んだことは陳腐化します。

だからこそ「学び続ける姿勢」「勉強のしかた」「勉強って楽しいのでは? と思える感性」を養うことが重要だと考えています。

 

今月の後半は教材研究のおはなしをアップロードする予定ですので、お楽しみに。

それでは、また。