ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「ゲルハルト・リヒター」展(大手町) レポ

イメージの成立条件を問い直す、という画業について。

まずは概要から。皇居のお隣にある東京国立近代美術館にて、10月2日まで開催。竹橋駅(東西線)1b出口が近いです。当日券、オンライン日時指定券のふたつがあります。10時から17時まで開館、金曜土曜は20時まで。休館日は月曜日ですが、9月19日は開館予定。その代わり9月20日はお休みです。

色彩と光

暗い画面にところどころ赤い絵の具が執念深く塗りこめられている。そんな絵画が《ビルケナウ》です。2014年に完成したこの抽象的な絵画は、ホロコーストに対するリヒターの立ち位置を示したものです。重く、暗いのも当然。ナチスドイツの負の遺産アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所の囚人たちの心象風景を描き出したかのような本作は、我々を圧倒するだけのパワーに満ちあふれていました。戦火を生き延びた画家たちが主題とする戦争の悲惨さに、改めて目を向けることができました。

《ビルケナウ》

一方でこちらは《4900の色彩》という作品。隣り合った異なる色が目の奥で混じり合って、一種独特な画面を形成します。これを見て思ったのは、リヒターってきっと、色彩と一緒にとことん真剣に遊んだ人、あるいはモデルや主題に対して真摯に向き合った人なのだろうな、ということ。色の混ざり方を実験するかのように配置された正方形のプレートには、ドット絵のような面白さがありました。

《4900の色彩》

ガラスの作品もありました。ガラスによって光が曲がったり遮断されたり反射したり……こういう実験的なことがしたかったアーティストなのかな、とも思いました。写真は基本的にOKなので、お気に入りの一葉を狙ってみるのもありですね。

個人的ベストショット

近現代の芸術

近現代の美術は、抽象的で何を表しているのかわからない、という方も多くいらっしゃると思います。でも、そのアーティストのバックグラウンドを知ることによって見えてくるものもありますし、単純に展覧会に行ってみて、作品を前にして気づくこともあるはずです。だからそこまで構えなくてもいいのに……と近現代美術ド素人は考えるのです。今回も常設展含む様々な美術に触れましたが、正解は己の中に刻み込むものであって、別に唯一のものが存在しているわけではないと思うのです。もっとみんなで芸術を盛り上げていきたいな、というところで話はおしまいです。

記録ノート