ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

定期連載 教育現場から 17 時事ニュースのおはなし

何だかんだ週末は寝て過ごしてしまったので、今日頑張って遅れを取り戻します。そうやって、休んだり進んだりしながら、まったりと生きているのが桃ちゃんです。ごきげんよう

このニュースが気になる

まずは写真から。実はこのニュース、読売新聞の一面にあったのですよ。

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2021年7月6日、読売新聞夕刊

ざっくり言うと、小学校になじめない・勉強についていけない、という子どもへの「支援策」として、5歳段階から学習プログラムを組んでいく、という案が出たのです。ちなみに、読売オンラインの有料会員様はバックナンバーでも読めるかも。私は紙で取っているので写真にしました。

問題点

幼児の早期教育には賛否両論ありまして、早ければ早いほど吸収する力が高いとして教育すべき、という言説もありました。しかし現状の教育現場の声は、「あまり早い段階からエリート教育をするべきではない」という方向でおおむね一致しています。というのも、つい最近文科省が「英語の民間試験と記述式の導入を断念した」のですが、あまりにも現在のカリキュラムが分断を生んでいるのが問題視されているのです。高校で学んだことが大学で活かせない、あるいは大学で学んだことが社会で活かせない。そういう利益を生まない学びはやめよう、と変な方向に動いたのが今回の民間試験がらみの騒動であり、そこに利権の問題があって大変なカオスと化したのです。実際に脅迫文書を受け取った先生もいらっしゃるそうで……この新カリキュラムですが、まず国語科で言えば「論理」と「文学」を分断してしまったのが大きな問題でした。文学にも批評などの「論理」が存在するし、論理的な文章の中にもレトリックは登場します。実際にこのふたつは分けられない、という現場の主張をかわして、2022年度から見切り発車でこの分断された新学習指導要領が施行されます。他の教科も大きく編成が変わるので、ここから10年間の指導についてはよく吟味する必要があります。

そして問題の幼小の連携ですが……これもあまり良くないのです。幼児期には遊ぶことで学び、そして社会性をはぐくんでいくのが通常のスタイルです。しかしこの学習プログラムでは、幼児教育の段階でエリート教育に近いことをしている(つまり「落ちこぼれが出る」=分断が生じる)ことや、幼少期の子どもの特質上、この理想とされている集中・学習などできるわけがない、という現場の声が非常に多く上がっています。

自分の幼少期を振り返って思うこと

私も5歳の頃から英会話を習ったり、合気道を習ったり、いろいろなおけいこをさせてもらいました。今でもその中でわずかに体に染みついている習慣もありますが、ほとんど忘れ去っています。それに、私が5歳の段階でダブルリミテッド(母語が固まっていない状態で他言語を学び、どちらの言語も運用できない状態)にならなかったのは、おそらく読書量が他の子どもに比べて多かったからだと考えています。それが無かったら私は今のような仕事には就けていないでしょう。だから、子どもの早期教育には慎重になった方がいい、というのが現在のスタンダードだと思っていたのですが……これまた文科省の思い付きで振り回されることになるとは。高大接続をうまくやり遂げてからにしてください。というか、中卒・高卒段階でも十分生きていけるお給料を貰える社会制度にしてから言ってくれ。そんな感じで、憤りを抱えながら文科省と戦っているのが現場の教職員です。利権と切り離す、せめてそこから……頼む。今日のお話はここでおしまいです。それでは、また。