ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

研究会 自己省察【note・ブログ共通記事】

夜はまだまだ終わらない。どうも星野です。連続投稿でごめんなさい。

今回は1217日に行われた、私学向けの国語科研究会の記録をつけていきます。

村上春樹の短編作品を扱った授業実践報告ということで、とても楽しみにしながら拝聴しておりました。

 

まずは中央大学附属の駒ヶ峰先生の『品川猿』を使った授業について。

この学校は新書や小説を年間100冊読破するという課題を課しているので、その一環で読ませたとのこと。

ちなみに私は大学在学中に近所の中大附属の図書館に見学へ行ったのですが、蔵書量と設備が圧倒的でした。

普通なら高校23年生向けだとおっしゃっていましたが、今回の実践では高校1年生の国語総合で行われたそうです。

この授業の進め方は、グループワークをしながら「探究マップ」という独自のプリントに沿って自ら問いを立て、解決し、最終的に800字の論述で成績をつけるという、かなりハードなもの。

「探究マップ」は大きな問いを小さくて具体的な問いに分割し、それに本文中から見つけた根拠を使って答えを出し(これを2サイクルやります)、そのうえで最終的に大きな問いに答えるというもの。評価もA,B+,B,B-,C,D7段階という細かさです。

先生のお話では、表層的にしか読めていない生徒が多く、少しずつ問いが抽象化されていったもののそれでも最後まで理解の浅い生徒はいたとのことで、少し個人的には安心しました。

この実践は「名前の持つ魔術的な効果」と「解離(斎藤環2000)」のふたつを軸としており、生徒たちは自力でそこまでたどり着けずに先生がネタバラしをしてしまったそうで……それによってどんなメリットとデメリットが生まれたかも考えなくてはならないなあと思いました。

 

f:id:hoshino-momotaro-1616:20191219011618j:plain

前半部分メモ

 

次に法政大学附属の林先生の『恋するザムザ』を使った授業について。

まず村上春樹が世界文学の中で王道に位置付けられていることを踏まえて、英語科との教科横断を行い、作品を日本語と英語の両方で読むというこれまたハードな取り組みをされていました。

こちらも進め方はグループワークで、事前課題が与えられていました。作品の要約や感想コメント、謎(=作品のテーマ、メッセージ)探しなど、様々なタスクをこなしながら進めていったそうです。

このクラスは高校2年生と3年生の合同クラスだそうで、少人数指導の側面もありました。

英語科の先生と協力して毎回の授業を構想していたそうです。

村上春樹が翻訳を読んで創作した(しかも曖昧な記憶を頼りに書いた)作品で、学習者としての村上春樹像を浮かび上がらせながら、学習者(=生徒)はこの作品をどう読むのか、という問題意識のもと授業をされていたそうです。

元ネタであるカフカの『変身』ですが、その訳も山下版と多和田版のふたつを読み比べたそうです。ここまで準備できるところがすごい……。

生徒は多和田版と村上の親和性を感じたようですが、実は山下版のほうが50年くらい前に出ているので村上春樹自身は山下版を読んでいるはずなのになんでだ? という興味深いご発言もありました。(おそらく表現のレトリックの多さに注目したものだとしていました)

f:id:hoshino-momotaro-1616:20191219011614j:plain

後半部分メモ

 

これらふたつに共通するのは、「問いと生徒に立てさせる」ということでした。

私の受け持つ生徒たちは「答えは合っていますか?」と必ず確認してきます。

だから自力で問いを立てるという訓練をさせていきたいと(させなければならないと)思った次第です。

そのためには読書経験がなければいけないと思ったので(書経験については別記事を参照してください)大学図書館との連携を主任に掛け合ってみるつもりです。

別記事リンク http://hoshino-momotaro-1616.hatenablog.com/entry/2019/12/19/011827

 

そして「その作品でなければ意味がないかどうか」というのも私には反省するきっかけとなったご発言でした。

村上春樹の作品の面白さ・その作品でしか教えられないことを常に考えること。テーマ性を考えること。それは私の今年の大きな反省でもあったためです。

単に私の「読み」を押し付けるだけではなく、生徒が何を考え、どう感じるかというのを念頭に置かなければならないと感じました。

ポイントは問い方だというお話もありました。「なぜ」ではなく「どのように」という問い方をするとわりあい良い方向に向くとのことだったので、さっそく実践してみます。

 

ただ私の勤務する学校のように、生徒が国語に関心をあまり持っていない(というか勉強が嫌い)ところで、どこまで面白さを感じてもらえるか、受動的な生徒をどうやって能動的に動ける場を整えるか、という課題を再認識しました。

進学する生徒と就職する生徒が半々なので、教養をどう身につけてもらうかだとは思うのですが、やはりまずはチョーク&トークを極めながら、取り入れていけるものから実践していこうと思いました。

来年こそ本格的に働く予定ですので、その際にどう変わるかを記録していきたいと思います。

とても面白く、勉強になった会でした。

私も文学を教える、国語を教えることを極めます。

今回はこの辺でおしまいです。それでは、また。