ゆったりまったり雑記帳

その名の通り、雑記帳です。

「トルコ至宝展」レポ【note・ブログ共通記事】

目尻に赤いアイシャドウを乗せるのに今さらハマっているのですが、母親に「花粉症?」と聞かれて憤慨しています。どうも星野です。

 

今回は2019320日から開幕した「トルコ至宝展」に行ってきました。

そのイベントレポートです。

47日と413日には講演会もあります。先着順ですのでお早めに。

421日と58日には担当研究員さんが展覧会をレクチャーしてくださいます。

そちらも是非。

会期は520日まで、毎週火曜は休館日(430日は開いています)

金曜日と土曜日は20時まで鑑賞できるので、仕事帰りに行っちゃうのもアリです!

リンクはこちら→ https://turkey2019.exhn.jp/

 

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会場までの道のり

 

まずトルコの歴史から、と思ったのですが、私は高校時代に日本史を選択していたため、世界史は本当に記憶の片隅に残っている程度なので……ざっくりしたお話をします。すみません不勉強で……。

 

もともと現在のトルコの辺り一帯は、古代ギリシア以来の伝統を持っており、6世紀ごろまでは多くの都市が栄えていました。

基本的にローマ帝国支配下にあったそうです。

しかしローマ帝国の衰退とともに、イスラム教を信仰する人々とキリスト教を信仰する人々との争いや、様々な民族による侵略を経て、14世紀に「オスマン帝国」と呼ばれる新興国家が誕生します。

完全にキリスト教からの脱却、イスラム教が主流の国家となりました。

(出典は東京書籍の『世界史B』の教科書です、手元にこれしかありませんでした……)

 

今回の展示は、そのオスマン帝国時代のトルコで花開いた芸術にスポットを当てています。

見どころとしては、企画の方が相当頑張ったと思われる内装が真っ先に挙げられます。

日本にいながら、本当にトプカプ宮殿に入ったかのような世界観を表現していて、感動しました!

 

最初に映像でイントロダクションがあり、セクションが3つに分かれていました。

 

最初は「トプカプ宮殿とスルタンというテーマです。

オスマン帝国時代のなかでも、16世紀から19世紀に生み出された作品群が展示されており、豪奢な装飾品を中心に、スルタンがどのような暮らしをしていたか伝えてくれます。

オリエンタルな雰囲気たっぷりの空間で、金・銀・エメラルド・真珠などなど、これでもかと言わんばかりに詰め込まれた宝石・貴金属類を目の前にすると……なんというか……くらくらします……。

(目がチカチカする、とも言いますが)

ありとあらゆるもの、生活用品から武具まで、すべてに(邪魔なくらいの過剰な)装飾を施してありました。

それだけ権力を誇示したかったということと、財力があったということが窺えます。

特に玉座が重要視されていたようで、金の装飾とエメラルドの吊るし飾りで美しく飾られていました。

立地的にも歴史背景的にも、西洋と東洋の中間くらいの雰囲気を持っているなあ、と思っていたら、ハンコ文化(花押、トルコの言葉でトゥーラ)があったそうです!

スルタンの金泥の花押は、後に書道の発展にも寄与したそうで、日本や中国との関係を感じずにはいられませんでした。

ところどころで絵の拡大写真が展示されているのですが、本の挿絵や風俗画などはすごく中国や日本の絵画っぽいのに、スルタンの肖像画はガッツリ西洋絵画にルーツを持っているのが個人的に面白かったポイントです。

筆箱もカップも時計も、全部宝石でデコレーションしてしまうところに、ただ圧倒されるばかりです。

 

続いて「オスマン帝国の宮殿とチューリップ」というテーマへ。

トプカプ宮殿はチューリップの宮殿とも呼ばれているのですが、その理由は大きくふたつあります。

ひとつは、スルタン・スレイマン1(16世紀)が花や造園に興味があり、中でもチューリップを愛したこと。

もうひとつ、これがいちばん大きな理由ですが、チューリップを神聖視する文化があること。

チューリップはトルコの言葉で「ラーレ(laleaの上に記号が付いています)」というのですが、この文字を入れ替えるとイスラム教の神の名となり、また逆さから読むと「新月」「三日月」という意味になるのです。

三日月はオスマン帝国の象徴でもあり、今のトルコの国旗にも描かれています。

またアラビア文字にはそれぞれ数字が割り振られており、laleのスペルをアラビア文字で書き、それに当てはまる数字を足すと66になります。

このことから神秘主義的にも、イスラム教的にも、神との合一を象徴する花として国民から大切にされてきたという伝統があります。

さらに、チューリップはひとつの球根から1輪の花が咲きますが、これがイスラム教の「唯一性(タウヒード)」と合致し、「誉れ高く幸運をもたらす花」とされているそうです。

 

ここからはもうチューリップだらけ。

軍旗にも、兜にも、盾にも、かばんにも、吊るし飾りにも、ぜんぶチューリップ。

どんだけ好きなんだというレベルでチューリップ。

ぜんぶ描かれ方・装飾の仕方が異なるので、見ていて飽きませんでしたが、愛が重い。

極めつけはチューリップ専用の花瓶があったこと。

底部にふくらみをもたせ、水をたくさん貯められるようにし、チューリップの細長い茎を支えられるよう上部まで筒を伸ばした独特の形をしています。

とてもきれいで、細工も凝っているのですが、やっぱり愛が重い。

 

ちょっと話が逸れますが、アラビア文字の書の額にめちゃくちゃ感動しました。

書道は中国や日本だけのものではないのだ、という驚きと、金泥とターコイズブルーの台紙がとてもきれいでした。

あと感動したのは、陶磁器に金線や宝石を嵌め込む技術。

工芸師と呼ばれる人たちの伝統的な手法なのだそうで、数日前に見た「世界ふしぎ発見!」のトルコ特集でやっていた「セバン・ブチャクチュ」という高級ジュエリー店を思い出しました。

確実にルーツはありそう。

 

レイマン1世の頃に花文様や花束文様が流行して、書物の表紙にもたくさんの花が描かれていました。

カラフルで、なんというか、エキゾチックなアールヌーヴォーとでも言えばいいんでしょうか……

行ってその目で確かめてみてください!

新生児用の布団にチューリップの刺繍がしてあるのを見つけたとき、「ああ、きっとこの神聖なチューリップに守られて、幸福な人生を歩んでほしいと思ったんだろうな」と温かな気持ちが湧きあがりました。

考えてみれば、日本でも桜のモチーフが好まれるし、皇室を表す菊の花、さかのぼれば徳川家の葵の御紋など、植物に意味を感じるのは同じだなあと気付きました。

 

実は日本とトルコは仲が良く、トルコは親日国家だと言われています。

昔からシルクロードを通じた物の交流があったのですが、国家として友好関係を築いたのは明治時代からと言われています。

後続関係者がトルコのイスタンブールを訪問し、宝物館を見せてもらったお礼に、明治天皇が当時最高位にあったスルタン・アブデュル・ハミト2世に、勲章を贈ったこともあったそう。

このアブデュル・ハミト2世は大工仕事の達人でもあり、芸術品をたくさん遺しました。

その大工仕事の助けに、と日本から指物道具一式が贈られたという話も……

 

日本とトルコは遠く離れていますが、植物を愛する感覚――自然観と言ってもいいかもしれませんが――が似ているところもあるのでは? と感じました。

植物を文様にするのはアジアだけのものではないとわかったのも大きな収穫でした。

非常に興味深く、リッチな気分を味わえる展覧会なので、是非足を運んでみてくださいね!

 

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トルコ至宝展でのお買い物

 

今回はここまでです。

明日できたら世田谷文学館の「ヒグチユウコ CIRCUS展」に(めちゃくちゃ遅くなりましたが)行ったというレポートも……書きたい……がんばります。

それでは、また。