あっという間に梅雨が明け、夏本番といった感じですね。
どうも星野です。
今回は「読解力」について私見を述べさせていただきます。
そもそも、読解力とは何でしょう?
文部科学省が育てるべきとしている、いわゆる「PISA型読解力」とは「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義されています。(出典:https://www.kobun.co.jp/vocabulary/tabid/285/gsid/58/GlossaryLink/on/Default.aspx)
ですが、従来の日本の学校が教えている「読解力」は、どちらかと言えば「筆者が何を思っているのか、正解がひとつあって、それを探し出す能力」のように捉えられていると思います。
そんな現状のままではいけない、ということで大学入試改革が来年から行われるわけですが……
読解力とひとくちに言っても、テキストをどう利用するかによって必要になる能力は細分化されていきます。
例えば、こうしてブログの記事を書くにしても、最初に必要になるのは情報を選ぶ能力、次に取捨選択したうえでわかりやすい言葉に変換する能力、最後に意見を交えて表現する能力……と、各段階で様々な能力を利用しているのです。
高度に情報化した知識基盤社会において、こうした「情報を集めてそれらに対し自分の意見を述べるちから」……PISA型にも近いですが、どちらかと言えば「メディアリテラシー」(情報の読解力)を伸ばしていく必要があると考えられています。
今後大学入試でも、メディアリテラシーが問われるようになる可能性があります。
私は大学で「メディアリテラシー教育」について少しかじったので、それについてのお話をしたいと思います。
メディアリテラシーとは、新聞、テレビ、インターネットなど、身の周りにあるメディアが形作る「現実」を批判的に読み取るとともに、メディアを使って表現する能力のことを指します。
ブログを書いているまさにこの状況こそがメディアリテラシーの問われるポイントなわけですが……
これは母語教育の拡張であり、メディアの特性を理解すること、映像作品の読解を行うこと、批判的・創造的思考を鍛えることなどが含まれます。
実は平成20年度版の国語科学習指導要領の言語活動例に掲載されています。
メディアリテラシーの実践的な活動例として、
①写真を見てストーリーを作る
②写真で他己紹介をする
③CMづくり
④テレビ番組の分析
……などなど、多岐にわたります。
このときのポイントが、
①「話す・聞く」「書く」「読む」の技能をすべて活用すること
②事実と意見の区別をつけ自分の意見を広げられるようにすること
③他教科とのリンクを行うこと
……だと習いました。実践している先生方は大変苦労されていることと思います。
この中で私が実際に体験した「他己紹介」の話を少しして、メディアリテラシーの本質に迫っていこうと思います。
他己紹介のやり方は至ってシンプルです。
自分のケータイあるいはスマートフォンに保存されている写真を4枚選んで相手に見せるのです。見せながら「これはいつ撮ったもので、何をしているところで、そのときどんな気持ちになったのか」を相手に話して伝えます。
聞いたほうはメモを取りながら写真と話しぶりから伝わる相手の印象を、別の人に語るのです。
この活動をやってみて思ったのは、
「見せる写真によって自分は無限に違う印象を与えられる」
ということです。
私は食べ物の写真や出かけた先の写真を見せたのですが、大好きなアニメのキャラクターや絵画の展覧会の写真は見せませんでした。
ここで「私」という存在が写真という「メディア」によって切り取られていて、自分の思う「私」と相手が思った「私」の間に溝が生じたのです。
メディアの面白さに気付いたと同時に、怖さも感じました。
メディアはいくらでも情報を加工できるのです。
だから印象操作なんてお手の物なわけです。
その人がどう思われたいか、何を伝えて何を伝えないのか。
それが浮き彫りになるんだと実感した瞬間でした。
メディアリテラシーの大事なところは、
①情報をうのみにしないこと
②真偽を見極めること
なんだそうです。
そのための方法を教えるのがメディアリテラシー教育なのですが……
教えるときに押さえておきたいのが「4つのギモン」と「4つのジモン」。
まずはギモンのほうから。
これは情報を受け取る際のギモンです。
①真実か印象か、分けて考えること
②他の見え方はないか探すこと
③隠れているものがないか探すこと
④即断しないこと
①はわかりやすいですね、自分の印象なのか本当の事なのか書き分ける能力を身に付けさせないとだめってことです。これは知識がなくてもできます。
②は決めつけないでね、ということです。情報の順序や自身の立場、情報の重心を変えるだけで相手に伝わる内容は変わります。
③は別の情報がないか探す力を身に付けさせようということです。記者(ライター)にも視聴者にも悪気はないですが、どうしてもやってしまいがちなのがスポットライトの当たった情報にしか目を向けさせない/目を向けないこと。これは情報が偏るのでまずいのです。
④は常に「まだわからないよね?」と思い続けることです。当面の、とりあえずの見方は決めても、そのフレームが真実だと思い込んではいけません。決めつけは見方を狭めてしまうからです。
これらのスキルはちょっとした訓練で誰でもすぐできるようになるのでお勧めです。
ジモンは、逆に自分が発信するときの注意点です。
これらはとても簡単です。私も心がけているので、ちょっとの意識でできるようになりますよ。
①何を伝えたいのか明確にする
②決めつけていないか正確さを判断する
③傷つける表現を使っていないか、優しさをもって考える
④これで伝わるか、と読解のハードルを下げることに注意を払う
この授業を大学で受けてからメディアに対する意識が変わりました。
教育現場にも持ち込んでほしいですが、なかなか難しいところはあるかと思います。
ですがそれ以上に、今後メディアリテラシーがいっそう必要になるだろうという危機感と、合科的な指導への期待感が後押しとなって、こういったメディアリテラシー教育が普及していけばいいな、と思っております。
私も実際に指導してその反省をまとめておくので、近日公開!
……という感じで見逃してください(笑)
今回はここまでです。
お付き合い頂きありがとうございました。
それでは、また。